気候変動による環境活動で世界を変えてる少女

公開日: : 最終更新日:2020/08/11 時事

【グレタ・トゥーンベリ】


「よくもまあそんなことができますね」の言葉が記憶に残っています。


話題のスウェーデン人の少女の名前は「グレタ・トゥーンベリ」 十代の若き環境活動家です。


私はこの少女に感動して、この少女について詳しく知りたいと思い、本を読みました。その本の著者は、Viviana Mazza の「グレタ・トゥーンベリ」 という本です。先ずは「はじめのことば」を紹介します。


【はじめのことば


グレタ・トゥーンベリは、スウェーデンのティーンエージャーで、今やロックスター並みの有名人です。でも、ずっと有名だったわけではありません。


スウェーデンで森林火災がたくさん起きた2018年の夏の後、グレタはそれまで誰もグレタのことなど知らなかったのですが、ほんの数か月で地球環境保護活動のリーダーになりました。今では、その活動に大勢の子どもたちが参加しています。


グレタは、2018年の8月下旬に学校のストライキをはじめました。(ストライキとは、労働者が物事の改善を求めて、みんなで仕事を放棄することです)。グレタが求めたのは、すでに進んでいる気候変動を止めるために、大気中の温室効果ガスを、大幅に減らすことでした。


子供たちは、科学者たちが昔から訴えているけれど聞き入れてもらえないことを、繰り返しているだけなのです。


2007年にノーベル平和賞を受賞した研究者グループ、IPCC(気候変動に関する政府関パネル)は、できるだけ早く手を打たなければ、今世紀の終わりには地球の気温は約三度上がると予想しました。


世代間の対立も進んでいます。大人たちが何も行動を起こさずにいる一方で、グレタたちは、まだ年齢が満たないので、選挙で投票することも、環境についての国の取り組みをきめることも出来ませんが、自分の子供や孫がどうなるかを気にしています。


22世紀の世界に生きるのは自分たちの子供や孫だからです。世界を救いたい、自分たちのため、そして地球のために未来がほしいと願っていますが、大人の助けがなければうまくいかないことはよくわかっています。だから、私たちは大人の目を向けさせようと決めたのです。


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こうしてグレタのおかげで、若い大勢の子供たちが環境のために何をやるべきか、わかったのです。そして、「気候のための学校ストライキ」をして集まり、若い環境活動家たちが一人ずつステージに上がって話をします。


グレタは三つ編みを左右に垂らした小さくて、やせ形の少女で、小さな声で静かに、でもきっぱりと話します。


『ローマのみなさんこんにちは、気候危機が取返しのつかないことになるまで、あと11年くらいです。そのころ私は26歳です。妹のベアタは23さいです。わたしたちの殆どは20代です。素敵な年ごろだと思われます。人生のすべてがその先にあるからです。


でも、そういわれるほど素敵な年ごろなのか、私にはよくわかりません。なぜなら、わたしたちの未来は売られてしまったからです。ほんの一握りの人たちが想像できないほどたくさんのお金を、儲けるためにわたしたちから未来をうばったのです。』


【ある暑い日】


ローマのポポロ広場に行く二日前のことです。グレタは列車でローマ・ティブルティーナ駅に着きました。それからローマ教皇フランシスコに会いました。世界のリーダーの中で、気候についてまじめに話すのは教皇だけなので、グレタは教皇をとても尊敬しています。


教皇はグレタを励ましてくれました。「神があなたを祝福されますように、このまま続けなさい。続けるのです。」


その翌日、グレタはイタリア上院で政治家たちを叱りました。


大勢の生徒たちが気候のためのストライキを行ったのに、何も変わっていません。環境をよごす物質の排出もそうです。


私たちがデモに参加するのは、政治家に行動してもらいたいからです。自分たちの夢と希望を取り戻すために、ストライキを行っているのです。


 


2015年に、2020年からの地球温暖化対策のルールが作られました。これが、「パリ協定」です。パリ協定で決められたように、平均気温が上がるのを二度以内におさえるためには、二酸化炭素の排出量を、毎年少なくとも15%減らさなければなりません。


アメリカはパリ協定からぬけ、そのことを各国が責めましたが、協定を結んでいる国の中で、ルールを守っている大国はほとんどありませんでした。


自動車や工場、発電、森林伐採などによって、大気中に排出される二酸化炭素の量が増えていること、地上の平均気温が上がっていること、また、南極と北極の氷がとけて、海の温度が上がり、水位が上がっていることを、科学者はずっと前から警告しています。


つまり、大気中に排出される二酸化炭素の量を減らさなければ、わたしたち皆にとって、大変なことになるのです。


【若き環境活動家】


すべては2018年8月20に始まりました。


この日グレタは、気候変動に対して何らかの行動をおこなってほしいと、一人でうったえたのです。


2019年3月15日金曜日、とても冷たい雨の中、グレタは国会義義堂の前にいました。黄色いレインコートを着て、リュックサックを背負って白いニットの帽子から三つ編みが飛び出しています。


まさにこのとき、世界中の百を超える国の二千以上の町で、150万人以上の子供たちがグレタと一緒に活動をしていました。広場や通りをうめつくして、気候変動のために行動してほしいと、大人たちにうったえました。気候変動は、もはや疑いようのないことなのです。


「わたしたちは、生存の危機を前にしているのです。人類最大の危機です。」


【きっかけ】


グレタが気候変動についてはじめて聞いたのは、八歳のときでした。信じられませんでした。


11歳のとき、授業中に、海にあるごみについてのドキュメンタリーを見ました。グレタはショックを受けました。日本の五倍以上の大きさのプラスチックごみが、集まってできた島が、太平洋のチリ沖に浮いていることを知りました。


グレタには、もう何も知らなかったときのように生活していくことは出来ませんでした。


未来がない、という事実のなかで生きることに、どんな意味があるのでしょう。


こうしてグレタは、学校に行かなくなりました。先生の一人がこっそり図書館で勉強を教えてくれました。 グレタは発達障害のひとつ、「アスペルガー症候群」をかかえています。とても頭が良くていつも学ぶことに興味がありました。その一方で同じ年頃の子供たちとは、うまく話せませんでした。


【決意ー気候のための学校ストライキ】


2018年5月、グレタはスウェーデンの新聞がおこなった、環境問題についての作文コンテストに応募し、入賞しました。作文を読んだ環境活動家がグレタに連絡してきて、抗議活動を行おうとしている若者たちのグループに入らないか、と誘ってきました。


そして2018年の夏がやってきました。今までで一番暑い夏です。北ヨーロッパは激しい熱波におそわれ、森林火災が起こりました。普段こうした問題をあまり気に留めていなかった、マスコミでさえも、気候はわたしたちの時代の重大な問題だと報道するようになりました。


8月20日 グレタはプラカードを作り「気候のための学校ストライキ」と書きました。どうして学校の授業を受けずに、地球温暖化について訴えることにしたのか、グレタの意見を広める為のチラシもたくさん準備しました。


「わたしたち子供たちは、いつも大人の言われた通りのことをするわけではありません。大人たちのまねをします。大人たちが私の未来を大事にしてくれないのなら、わたしも大人たちを大事にしません。」


グレタは国会議事堂の前に通い続けました。冬が来て雪が降っても続けました、冬休みに入っても続けました。 おくれを取り戻すため、グレタは皆の倍、勉強しました。


 


2018年9月、ストックホルムで民衆の気候マーチが行われました。民衆の気候マーチは、環境問題への世界最大の抗議活動です。


この場でグレタは初めて、大勢の人の前でスピーチをすることになったのです。


お父さんとお母さんの心配をよそに、グレタは完璧な英語で落ち着いてスピーチしました。


この時のスピーチは、グレタが一人で書いたものです。お父さんはグレタを誇らしく思って、涙をながしました。


 


では最後に、グレタが「国連気候変動サミット」でのスピーチをご覧ください。


【国連気候変動サミットでのスピーチ】


『わたしが伝えたいのは、私達はあなた達を見張っているということです。


すべて間違っています。私はここにいるべきではありません。海の向こうの学校にもどるべきなのです。それでも、あなた達はみんな、私たち若者のところへ、希望を求めてやってきます。よくもまあ、そんなことができますね。


あなた達は、空っぽな言葉で、わたしの夢を、私の子供時代をうばったのです。それでも私はまだ、恵まれています。人々は苦しんでいます。人々は死にかけています。生態系はすべて、くずれつつあります。大量絶滅が始まろうとしているというのに、あなたたちが口にするのは、お金のことや、経済がいつまでも成長し続けるというお伽話だけ。よくもまあ、そんなことが出来ますね。


30年以上もの間、科学ははっきりと示していました。あなた達は、目をそらし続けたくせに、ここにやってきて「十分やっている」なんて、よくもまあそんなことが言えますね。必要とされる政策も解決策もまだ、どこにも見られないのに。


わたし達の話は聞いているし、緊急であることはわかっていると、あなたたちは言います。でも、どんなに悲しく、怒りを感じても、わたしはその言葉を信じたくありません。あなた達がこのありさまを本当に分かっていて、それでも行動を起こさずにいるのなら、あなた達は悪者です。だから信じることをこばみます。


10年間で、温室効果ガスの排出量を半分に減らすという、考えが広まっていますが、それによって気温の上昇を、1,5度以内におさえられる可能性は、50%にすぎず、人間の力ではコントロールできない、後戻りできない連鎖反応を引き起こす危険があります。


50%という数字は、あなた達には受け入れられるものかも知れませんが、これらの数値にはテッピング・ポイント(小さな変化が続いた後、突然大きな変化が起こるポイント)や、ほとんどのフィールドバックループ(気候変動によって起こる現象が、さらに気候変動を起こすという悪循環)、有毒な大気汚染に隠されたさらなる温暖化、公平性や気候正義、といったようなことは含まれていません。


この数字は、私達の世代が、大気から何千億トンもの二酸化炭素を吸収する、ということを当てにしていますが、そんな技術はほとんど存在していません。


だから、50%のリスクというのは、私達には絶対に受け入れられません。その結果と共に生きていかなければならないのは、私達なのですから。


IPCCが示した最も高い確率によると、気候の上昇を1,5度以内におさえられる可能性は、67%です。それを実現するためには、2018年1月1日までさかのぼって、あと420ギガトンの二酸化炭素しか放出できない計算になります。今日では、この数字はあと350ギガトンまでに減っています。


今までのやり方で、何らの技術的解決ができるふりをするなんて、よくもまあ、そんなことができますね? 今の排出レベルのままでは、八年半もしないうちに、炭素予算の上限を完全に超えてしまうでしょう。


今日、これらの数値に添った解決方法や、計算はまったくないでしょう。なぜならあなた達にとってこれらの数値は、あまりにも都合が悪く、それをありのままに伝えられるほどの分別は、あなた達にはないからです。


あなた達は私達を見捨てていますが、若者たちはあなた達の裏切りを分かりはじめています。未来の世代の目は、あなた達に向けられています。もし、あなた達が私達を裏切ることを選ぶなら、わたしは言います、あなた達を絶対許さないと。


あなた達を逃がしはしません。この場で、今、私達は線を引きます。世界は目覚めつつあり、変化が訪れています。あなた達が好むか好まないかに関係なく。』


ありがとうございました。


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テーンエイジャーとはおもえ思えない、凄いスピーチです。


この後、2020年に「世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)でのスピーチもありますが、ここでは紹介しません。 これは、私達一人一人が本気で考えなければならない問題です。


 


 


 


 

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