新元号「令和」について、その由来
公開日:
:
最終更新日:2019/04/04
時事
今年「平成31年」の4月1日に、次月5月1日から変わる新元号が、発表になりました。平成に変わる新元号は「令和」(れいわ)と決まりました。
世界共通の西暦は、イエス・キリストの誕生から始まって、無限のシステムです。 そして現在は、西暦2019年です。その紀元に対して元号とは、皇帝や王など君主の即位によって、有限です。でも現在この元号は、世界の中で日本にしかありません。
日本の「元号」は、明治以降は「一世一元」の制が定着し、平成までは、天皇が崩御されてから、改元されてきました。ところが平成天皇の状況やお考えにより、改元時期を天皇の崩御に限らない事に致しました。
そうして、平成31年は、4月30日迄となり、5月1日から「令和」と成ります。
「令和」はどの様に決められたか
「万葉集32首」 の中の序文に、この様な句があります。
「初音の令月にして気淑風和ぎ 梅は鏡前の粉を披き 蘭は珮後の香も薫らず」 この中の、令月の令と風和らぎの和をとりました。
これについて、安倍総理のコメントによると、
「若い世代が活躍できる社会を、ということで梅の花の歌では春の訪れとともに、梅の花が美しく咲き、誇る姿が描かれています。
平成に『世界で一つだけの花』という歌が流行りましたが、その歌になぞらえると、明日への希望を元に、若者たち一人一人が自分だけの花を咲かせてほしい との意味が込められています。」とのことです。
「万葉集」とは、7世紀後半から8世紀後半頃まで作られた、和歌を集めた現存する我が国最古の和歌集で、その歌の数は4,500首以上あります。そんな中のたくさんの歌が、大宰府で読まれました。
大宰府とは、福岡県太宰府市にある神社「大宰府天満宮」で、京都の北野天満宮とともに、文道の祖神として信仰される「太宰府神社」です。
その祭神は、菅原道真で 学問、書、詩文に優れ、官公と称され、後世天満神宮として祭られます。
万葉集32首
「天平二年正月の十三日 師の老の宅に萃ひて宴会を申ぶ時に、初春の令月気淑く風和ぐ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫らす。加以 曙は嶺に雲を映し、松は羅を掛けて盖を傾け夕岫に霧を結び、鳥はうすものに封じて林に迷ふ。庭には舞ふ新蝶あり、空には帰る故雁あり、是に天を盖にし地を坐にして、膝を促して觴を飛ばし、言を一室の裏に忘れ、衿を煙霞の外に開き、淡然として自ら足れり、若し翰苑にあらずば何を以てか情を述のべむ。請ひて落梅の篇を紀さむと、古今それ何ぞ異ならむ。園梅を賦し脚か短歌を成むべし。」
この歌は、天平2年(730年)1月に、大宰府において正月の饗宴として、梅花の宴が開かれており、旅人をはじめ32人が饗宴に集まり、梅花を題材に短歌を詠んだと言われている。
この歌の具体的な意味は、現代文にすると以下のようになります。
「天平2年1月13日に、大宰の師の旅人の邸宅に集まって、宴会を開いた。時期は初春のよき月夜で、空気は澄んで風は和らぎ梅は、美女が鏡の前で白粉を装うように花を開き、梅の香りは身を飾った衣に、春を薫ませたような匂いを漂わせている。
それだけでなく、曙に染まる嶺に雲が移り行き、松はその枝に羅を掛け、またその枝葉を笠のように傾け、夕べの谷あいには、霧が立ち込め、鳥は薄霧に遮られて林の中で迷い鳴く。
庭には新蝶が舞ひ、空には故雁が北に帰る。ここに天を立派な覆いとし、大地を座敷とし、お互いの膝を近づけ、酒を酌み交わす。心を通わせて他人行儀の声を掛け合う。
言葉を部屋の片隅に忘れ、正しく整えた衿を大自然に向かってくつろげて広げる。淡と心の趣くままに振る舞い、快くおのおのが満ち足りている。これを書き表すことが出来ないのなら、どのようにこの感情を表すことが出来るだろう
漢詩に落梅の詩篇が、ある感情を表すのに漢詩が作られた昔と、和歌の今とで何が違うだろう。よろしく庭の梅を詠んで、いささか大和歌を作ろうではないか。
こんな長い和歌の中から、この歌の序文の部分から2字を取って「令和」とした元号。今迄は中国の古典から引用が多かったが 日本の元号が、初めて日本の古典から引用となった。その訳は何だろう。これを見つけるのにも、どれ程の思考を巡らしたのでしょう。
日本の元号は、日本を象徴するものだから、中国の漢詩からではなく、日本の古典文化の中から探すことが良いであろう、と思ったことでもあるでしょう。
関連記事
-
-
北朝鮮の核ミサイル開発は なぜ止められないのか
北朝鮮の核ミサイル開発はなぜ誰も止められないのか、という事が私は不思議に思っておりましたところ
-
-
2020年日本五輪の準備で考える事
心配した リオのオリンピックは、無事に終わりました。当初いろいろ心配されていたのは リオのオリ
-
-
アベノミクスの三本の矢・新三本の矢と消費税10%のまとめ
アベノミクスの三本の矢と新三本の矢 アベノミクスという言葉は、だいぶ聞き旧しま
-
-
北朝鮮のミサイル発射について
2016年2月7日に 北朝鮮は「弾道ミサイル」を打ち上げた模様でしたね。 それ
-
-
アメリカ大統領に何故トランプ氏が決まったか
第45代アメリカ大統領に 「ドナルド・トランプ」氏が11月8日の選挙で当選確実となりました。
-
-
気候変動による環境活動で世界を変えてる少女
【グレタ・トゥーンベリ】 「よくもまあそんなことができますね」の言葉が記憶に残
-
-
台湾から能登半島地震被災地に寄附金
台湾の民間からの寄付金が凄い 能登半島地震の被災地のため台湾の民間から募ってい